逝去時ケアの変化

時代と共に、私たちヒトの価値観は変わり、
逝去時のケアに関する内容も時代と共に変化しています。

 

そのため、以前は当たり前のように実施されていた逝去時のケアが、
現在では様々な理由から回避されているものもあります。

綿詰め

以前は、口の中や鼻の中に詰め物をするのが一般的でした。

 

しかし、腐敗により、分泌物や貯留物の逆流が始まると、
詰めた綿が全部外に出てしまったり、
大量の綿や凝固剤を詰め込むことにより、
ご遺体の顔を変形させてしまうなどします。

 

このような事情があり、近年は、詰め物をしない方法が主流になっています。

 

ですが、綿を詰める事によって臭気の抑制には効果があります。

 

弛緩期になると、開いた口から胃で発生したガスが上がってきます。

 

そのため、葬儀業者によっては、臭気抑制のために、
綿は絶対に入れて欲しいというところも多いです。

 

綿のなかに、凝固剤が入っていて、
多少の逆流にも対応できる「セーフティ・ポリコン」という医療材があります。

 

これには、サイズが、「大」と「小」があり、
「大」は、咽頭部と直腸部、膣部に、「小」は、鼻孔と耳腔に使用するなどします。

医療機器の留置

胃ろうチューブは、病院で抜いてしまうと、
その部分から滲出液が漏れ出してしまうため、
病院では抜去しないのが一般的です。

 

胃ろうは、造設されたまま退院するというのが一般的で、
葬儀業者の担当者にその旨を伝達すると、
抜去し、縫合してくれる様になっています。

 

ペースメーカーや埋め込みタイプの除細動器なども、
留置したままにしておき、
人工肛門(ストーマー)も病院では特別な処置はせず、
周囲の皮膚をアルコール綿できれいに拭き取り、
新しいパウチを装着しておきます。

 

急性期病院では、根拠のあるケアを責任を持って行い、
葬儀業者の担当者に必要な情報を提供し、
バトンタッチします。

顔や手首の固定

ご遺体の口を閉じるために包帯で顎固定をしたり、
ご遺体の両手首を縛って指を絡ませることなど、
「縛る」ということは、あまり行われなくなっています。

 

包帯で顎固定をすれば、縛った後が残り、
顔が膨張して表情が変わってしまいます。

 

口は無理に閉めていても、弛緩期には開いていしまうため、
安易に縛りません。

 

チンカラーも適したサイズでなければ、
うっ血や皮膚変色を起こしたり、
首をしめたような跡が残ってしまったりします。

 

口を閉じたい場合は、枕を使って前傾姿勢にし、
丸めたタオルを顎の下に入れて閉じるようにします。

 

指を絡ませる処置は、宗教的な意味合いは殆どありません。

 

搬送上の都合であることが多く、
縛ってしまうと、縛った部分がうっ血したり、
末梢部に水腫や皮下出血が起こったり、
組んだ指が腫脹したりします。

 

家族(遺族)に説明し、理解してもらうことが必要です。

日本の逝去ケア

世界的にみても、日本の看護師の逝去ケアは、誇れる終末ケアの一貫であるといわれています。

 

多くの国では、患者さんが亡くなってしまうと、その時点で医療は終了です。

 

つまり、ご遺体のケアは、家族(遺族)が行うのが一般的で、
に看護師がケアを行うということは殆どないそうです。